不動産売却時の確定申告について|マイホームの売却益・損失が出た時の手続きの流れや必要書類を解説
土地・建物などの不動産を売却して、利益が発生したときは、確定申告が必要です。
2022年の確定申告の提出期限は2022年2月16日(水)〜2022年3月15日(火)となっています。今回のコラムでは確定申告の手続き方法や流れ、必要書類などをまとめて解説します。
前年に不動産を売却して売却益が出た方は、忘れずに確定申告を行いましょう。
コラムのポイント
・不動産売却時に確定申告が必要なケースと不要なケースを解説します。
・譲渡所得が出た時・損失が出た時の確定申告の必要書類や書類作成のポイントを解説します。
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~table of contents~
不動産を売却したら確定申告は必要?
・確定申告が必要なケース
不動産売却時に確定申告が必要な人は、冒頭で説明したとおり、売却益(譲渡所得)があった人になります。
譲渡所得は、給与所得などとは別に独立して申告する必要があります(分離課税)。申告の際は、通常の確定申告書+分離課税用の確定申告書を併せて作成、提出します。
一方、不動産を売却して利益が出なかった(譲渡所得がゼロ)場合は、確定申告は不要です。
譲渡所得は売却費用からその不動産の取得費用と取得・売却にかかった費用を引いた金額になります。
譲渡所得 = 売却価格 -(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)- 特別控除
不動産売却時の譲渡所得の仕組みや譲渡所得税の計算方法、お得な特別控除については前回のコラムで詳しく解説しています。合わせてお読みください。
・確定申告が不要のケース
不動産を売却して譲渡所得がゼロやマイナスになった方は、基本的には、確定申告は不要になります。また、不動産の中でも土地を売却して譲渡損失が出た場合は、原則的に確定申告は不要です。
・損失が出た場合で特例を利用するなら確定申告が必要
ただし、利益がゼロの場合でも、特定のマイホームの売却で譲渡による損失が出た時の特例を利用する方は確定申告が必要です。不動産売却で損失が出たときに使える特例は、条件を満たすマイホームを売却した方が対象になります。
- ①買い替えを伴う場合=マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- ②ローンの残っているマイホームを売却した場合=住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたときの損益通算及び繰越控除の特例
①と②の特例では、条件を満たす場合に譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できます。つまり、マイホームを売って損失が出た場合、その年の課税所得を損失の分少なくでき、その年全体の所得税の負担を減らせます。さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)できます。
マイホームの買い替えやローンの残っているマイホームの売却で、売却損失が出てしまった方は、条件に当てはまっていないかチェックして、制度を利用しましょう。
国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
不動産売却時の確定申告の流れ
・必要書類と入手方法
不動産売却時の確定申告には次のような書類が必要です。
- ①確定申告書B様式(第一表・第二表)
- ②確定申告書第三表(分離課税用)
- ③譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- ④売買契約書のコピー(購入時・売却時両方)
- ⑤建物・土地の登記事項証明書
- ⑥購入(取得費用)・売却時(譲渡費用)の諸費用の領収書等
- ⑦特例を適用するにあたって必要な書類等
①~③の書類は、税務署で入手するか、国税庁のサイトでダウンロードして印刷することもできます。
国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
また、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイトで、確定申告書をオンラインで作成、提出できるサービスがあります。マイナンバーカードと連携してe-Taxで納税もできます。
オンラインで申告と納税が完結するので書類作成や申告がよりスピーディーになりました。
⑦の特例を利用する場合は、国税庁のサイトに自分が利用する制度の条文名や必要な書類が掲載されており、PDFでダウンロードもできますのでチェックしてください。
例えば、居住用財産を売却した場合の3,000万円控除の特例(措法35条1項)を利用するときに必要な書類は
- ① 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
- ②譲渡契約締結日の前日において、住民票に記載されていた住所と売却した居住用財産の所在地とが異なる場合は、戸籍の附票の写しなど
となっています。そのほかの特例の詳細は下記のページで確認してください。
国税庁「[手続名]申告手続き(譲渡所得関係 申告書添付書類)」
・確定申告の手順
必要な書類を準備したら、申告書に記入・入力したのち税務署や国税庁のサイトで申告します。書類作成のポイントについて解説します。
・確定申告書B様式(第一表・第二表)・第三表(分離課税用)
確定申告書の第一表・第二表は、1年間の収入や所得、所得控除などを記入します。譲渡所得は分離課税用の第三表に記入します。特例を適用する場合は条文名も記入しましょう。どちらの申告書も、最終的には、記入事項から所得税額や復興特別所得税額を計算して記入します。
国税庁のサイトで申告手順についての案内を見ることもできますので参考にしてください。
国税庁「令和3年分譲渡所得の申告のしかた」
・譲渡所得の内訳書作成ポイント
必要な書類のうち、③の譲渡所得の内訳書は不動産取得時や売却時の様々な情報を記入します。売買契約書や諸費用の領収書などが必要になるので、あらかじめ準備してからとりかかりましょう。
<内訳書の記入で主な必要項目>
- ・売却した土地・建物の所在地
- ・利用状況(居住期間など)
- ・売却した日(売買契約日、引渡し日)
- ・買主の氏名住所
- ・譲渡価格(売却した金額)
- ・売却した土地・建物の購入代金
- ・譲渡にかかった費用(仲介手数料や収入印紙代など)
・申告書の提出方法、期限
2021年分(令和3年分)の確定申告期間は、2022年2月16日(水)〜2022年3月15日(火)の期間となっています。提出方法は、次の3通りです。
- ①e-Taxで申告する
- ②郵便又は信書便により、所轄税務署に送付する
「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」として送付します(郵便物・信書便物以外の荷物扱いで送付することはできない)。郵送の場合、通信日付印が提出日となるので、申告期限内の通信日付印になるよう注意しましょう。 - ③所轄税務署の受付に提出する
税務署の時間外収受箱への投函で提出もできます。
まとめ
今回は、期間が来月に迫っている確定申告について解説しました。昨年、不動産を売却した方は、今回解説した申告手順を参考に必要書類をあらかじめ揃えておき、余裕を持って申告を済ませられるようにしておきましょう。
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