重要検討事項です! 中古住宅を買ってリフォームするか!?
日本は人口減少社会なのでかつてのような新築偏重の住宅文化では空き家で溢れかえってしまいます。
以前に比べると中古住宅流通が活発に行われるようになっていますが、比較的流通しやすいマンションが目立ち、中古一戸建ては性能面での不安が払拭できず、まだまだ下火と言ったところでしょうか。
今回は安心して中古一戸建てを購入するポイントをご説明いたします。
~table of contents~
リフォームを前提とする
中古住宅に対する不安要素は「汚い」「性能が不安」「わかりにくい」に集約されると思います。そしていずれもリフォームを前提にすることで容易に解消できます。
多くの方が家を買う時に不動産仲介会社を頼ると思いますが、不動産仲介会社は不動産取引のプロであって、建物性能のプロではありません。
建物性能は建築士の領分です。
つまり、中古戸建てを安心して購入するには建築士の存在が不可欠です。
不動産仲介会社に建築士が所属している場合もありますが、工務店・リフォーム会社に頼った方が良いでしょう。(中には建築士が不在の工務店・リフォーム会社もあるので注意してください)
中古住宅の汚さや性能面での問題はリフォームで解消することができ、建物性能やリフォーム制度に関するわかりにくさは建築士が解消してくれます。
逆にリフォームを考慮しないで中古戸建てを買おうとすると、築浅物件しか手を出せなくなりますので、物件選びの選択肢が狭まってしまいます。
リフォーム予算を意識する
リフォームにかかる費用は物件の状態によって様々です。
購入希望の物件が見つかってから(場合によっては売買契約を締結してから)リフォームの相談を始める方がいるのですが、これでは遅すぎます。最悪の場合はリフォーム予算が足りず、必要なリフォームが実施できないことも考えられます。
失敗しない住宅購入には資金計画が重要です。
まず、リフォーム予算を「最低限行うべき性能向上リフォーム」と「住宅設備などその他のリフォーム」に分けて考えます。
このうち「住宅設備などその他のリフォーム」は我慢すれば良いかもしれませんが、「最低限行うべき性能向上リフォーム」を実施できなければ、遅かれ早かれ雨漏れなどの劣化事象に悩まされることになります。
「中古戸建てを買ったらすぐに雨漏れでリフォーム代がたくさんかかった」というのは中古検討時によく聞く失敗事例だと思います。
この「最低限行うべき性能向上リフォーム」は物件によってまちまちです。
従って、購入する物件を決めてからリフォーム会社に相談するのではなく、物件選びの段階からリフォーム会社に見てもらう必要があります。
候補が絞られたら物件の内見に同行してもらい、最低限行うべき性能向上リフォームの概算とこの物件を買うとしたら実施したい設備交換などのリフォーム費用の概算を出してもらうことが大切です。
不動産売買契約前にリフォーム予算を大まかに把握しておかないと安心して契約することができません。
防水対策を最優先に
中古戸建てを長持ちさせるコツは適切な劣化対策です。
具体的には「屋根・外壁塗装」「バルコニー防水」を実施しておけば、外部からの水の侵入を防ぐことができるので家が長持ちします。
リフォームと聞くとキッチンやお風呂などの住宅設備をイメージする方が多いのですが、特に中古戸建てを購入する場合、最優先に検討するべきなのは防水対策です。
また、タイルのお風呂の場合はユニットバスへの交換を行った方が良いですし、建物インスペクションで漏水跡が見られた場合は原因を特定して対処を行わなければなりません。
これら劣化対策リフォームを実施すると、既存住宅売買瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険に加入する基準を満たすことができるので、最長5年の保険もついてさらに安心です。
耐用年数を考慮してある程度まとめてリフォームしておく
住宅ローンとは異なりリフォームローンは金利が高いです。
また、住宅購入される方は子育て世代が多いため、住宅以外にも出費が多い世代と言えます。
悪くなったからと言って頻繁にリフォームするのは現実的ではありません。
住宅購入資金だけでなくリフォーム費用もまとめて組むことができる住宅ローン商品があります。
現在住宅ローンは非常に低い金利で組むことができますので、主要構造部や主な設備の耐用年数の資料と照らし合わせて、10年以内に悪くなりそうな箇所については、住宅購入時にまとめてリフォームしておくと安心です。
物件を見ながら少し先を見据えてリフォーム会社へ相談してみてください。
そこそこ古めの物件を狙う
築浅の一戸建てはリフォームを実施したくない方向けの物件と言えます。
せっかくの住宅購入だから思いっきりリフォームしたい、とお考えの方はそこそこ古めの物件を狙うのがお勧めです。
築年数が新しくなるほど他の住宅購入者と競合してしまうので、建築士に見てもらうために別日で内見を設定したり、インスペクションを手配する間に、他の人に売れてしまう恐れがあります。
築年数が古くなるとリフォームを想定しないとなかなか手が出せなくなるので、じっくり準備を進めることができます。
やりすぎリフォームにご注意を
一戸建て住宅の資産価値はほぼ土地の価格です。
※建物価格は築年に応じて償却する計算を行うことが多いです。
現在の建物の査定方法ではリフォームはほとんど評価されないので、どれだけお金をかけてリフォームしても資産価値になるとは言えません。
もちろん築年数の割にきれいな状態であれば購入を検討する方も増えますので、まったく影響を及ぼさないわけではありませんが、キッチンは取り替えてまだ5年だからいくら、というような査定が行われることはありません。
生活のクオリティを向上させるためにまとまったリフォームを実施するのは良いのですが、あまりリフォームに偏った判断を行うと、希望のリフォームを実施するために、安い物件を探す、郊外の安い土地を探す、といった本末転倒な判断になりがちなので注意が必要です。
以上、安心して中古一戸建てを購入するポイントについてご説明いたしました。
いろいろ記載いたしましたが、「リフォームを前提とする」「契約前にリフォーム概算を把握する」の2点を押さえておけば大きな問題にはならないと思います。
いずれにせよ早めの段階でリフォーム会社を見つけておく必要があるので、物件探しと並行してリフォーム会社選びも行っておくことをお勧めします。