ご存じでしょうか!? 不動産価格について!!

不動産を購入する場合に必ず検討課題となるのが「価格」だと思います。不動産は個別性が非常に強い資産であるため、売り出されている価格が妥当なのか、その判断が極めて難しいという特徴があります。勿論、多くの売主は、1円でも高く売りたいと考えますので、相場価格より高値からスタートする方が多いです。仲介物件では、売り主と買い主の交渉により最終的な売買価格を決めることになりますので、住宅購入時には不動産価格に関する基本的な考え方と評価手法等を把握する事をおススメ致します。

価格の基本的な考え方を理解する際に重要な事は同じ不動産は存在しないという事です。

同じ地域の土地でも、土地の形、面積、方位、接する道路の状況などによって、価格が大きく変わることがあります。また、同じ棟のマンションでも、階数、間取り、部屋の方位、管理状況などによって価格は変わりますので、不動産価格の妥当性を判断する場合には、不動産の特徴を踏まえて、物件ごとに検討する必要があります。

また、不動産市場にも、全体的な相場の動きがあります。たとえ同じ不動産であっても、取引する時期が変われば、価格も大きく変わる場合があります。大手不動産会社の決算月が3月末に集中していたりしますので、3月前後は不動産の取引件数そのものも増える月となります。したがって、不動産価格を判断する場合には、市場全体の動向も踏まえて、取引時期に応じて検討する必要があります。勿論、時期にだけこだわって検討していくと、良い物件を逃してしまう場合もございます。

※ポイントは不動産購入時には価格が下がるようなイレギュラー要素はないのか、また相場価格等を不動産会社に調べてもらうとよろしいかと思います。

次に価格の評価手法を把握するという事が重要となります。売買を目的とした不動産の価格評価を一般的に「価格査定」といいます。価格査定には様々な手法がありますが、ここでは不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)が発行する「価格査定マニュアル」を参考に、住宅地(土地)とマンションの価格査定のおおまかな仕組みをご紹介したいと思います。

https://www.retpc.jp/chosa/satei-2 (価格査定マニュアルHP)

まず初めに「取引事例比較法」について、ご紹介させていただきます。

土地やマンションの場合、「取引事例比較法」により査定されることが多いと言われます。取引事例比較法は、売買しようとする不動産と同じような不動産の取引事例等の価格と比較することで、対象不動産の価格を査定する方法です。 まず、対象不動産と取引事例等となる不動産を比較して、取引事例等の価格をベースに対象不動産のおおむねの価格水準を査定します。その上で、取引時期の違いについて、市場全体の動向を加味して一定の調整を行っています。

 

また、対象不動産と同じような不動産を取引事例等として選定しなければ、価格の判断を大きく誤ってしまいますので、慎重に取引事例等を選定する必要があります。以下に不適切な取引事例等の選定例を挙げます。

土地の場合

・住宅地の取引事例等として10年前の事例を選定

・通常の住宅地の取引事例等として住宅地内の大規模な土地を選定

・住宅地の取引事例等として近隣の商業地を選定

マンションの場合

・比較的築浅のマンションの取引事例等として築後数十年のマンションを選定

・ファミリーマンションの取引事例等としてワンルームマンションを選定

・中古マンションの取引事例等として新築マンションを選定

対象不動産の価格査定は、取引事例等との比較と時点修正のみで完結するものではありませんので、その他の要因も加味した上で、最終的な査定価格とする必要があります。価格査定に当たっては、不動産会社等に調べてもらうとよろしいかと思います。

続いて「原価法」についてご紹介させていただきます。

対象不動産の再調達原価を基に不動産を鑑定評価する方法です。まず、対象の不動産を仮にもう一度建築・造成した場合にいくらになるか(再調達原価)を割り出します。その後、建築後の経過年数による価値の低下を割引いて(減価修正)現在の価値を推定する方法です。

対象不動産が建物または建物と土地の場合、再調達原価の把握と減価修正を適切に行なうことができる場合に有効で、対象不動産が土地のみの場合でも、新しい造成地など再調達原価を適切に求められる場合には適用できます。

例えば、中古住宅を原価法で出してみますと、下記のような公式でざっくりとした価格が出せます。

積算価格=総面積×単価÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数)

ここでの単価と耐用年数と残存年は、物件の構造によって異なります。

続いて、「収益還元法」についてご紹介させていただきます。

収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと予測される純収益の現在価値の総和を求めることによって、対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。

収益還元法は、賃貸用不動産、賃貸以外の事業に要する不動産の価格を求める場合に特に有効で、取引事例比較法や原価法と比べ、合理性が高い方法と言えます。ただし、過去の運用履歴とその数字の信頼性が前提となってきますので、対象不動産の販売会社から提出された資料の妥当性等により、多少のずれが生じてきますので、注意が必要です。

また、収益価格を求めるには、直接還元法とDCF法の2つの方法があります。

以上のように、不動産購入時には多少の価格についての知識を持っている事で、交渉事を有利に進めていける場合がございます。ぜひ、今後の参考にお役立てください。